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奇跡を信じて

第24章 約束のプレゼント





 「恐らく敬遠ではないですか?」と川籐が言うと、

 「やはり川籐さんが言われた通り、キャッチャーが立ち上がっています。完全にボールを外してフォアボールにしました。2アウト1塁、2塁で田村の登場です。田村は、第2打席でホームランを打ちましたが、第3、4打席は凡退しています。ほとんどのファンが田村のヒットを期待していることでしょう。田村のここ1ヶ月の打率は、4割6分という驚異的な数字です。田村、打席に入りました。ピッチャー野口、第1球目を投げました。ストライクです。第2球目は高めのボール球を空振りです。田村、2ストライクと追い込まれています。野口、第3球目を投げました。内角高めに入り、ボールです。次が勝負球ですね、川籐さん」

 「野口は必ず勝負をしてくるでしょうね」と川籐が言った。

 「野口、第4球目を投げました。打球はレフト方向へ飛んでいます。レフトの三上、バックしています。ジャンプをし、フェンスに当たりました。掴んでいるのか? いや、打球はスタンドへ入っています。ホームラン、サヨナラ3ランホームランです。田村、やってくれました。すごいですね、川籐さん」

 川籐は泣いていたため、声がでなかったのだ。


 「大地、田村選手が2回もホームランを打ってくれたよ」と幸雄が言うと、

 「うん、見てたよ。タムはすごいね」と大地は興奮気味に言った。


  幸雄はひとみに、
 「大地の誕生日にこんな最高のプレゼントをもらって幸せだな」と言った。




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