奇跡を信じて
第25章 夢の中で
そこで、田村は目が覚めた。時計を見ると、まだ朝の3時30分であった。
翌朝、田村は昨日の夢のことが気にかかり、大地の家へ電話を入れた。
「おはようございます。田村と申します」
「田村さんですか? おはようございます」とひとみが言うと、
「朝早くからすみません。その後、大地君の様態はいかがですか?」
「実は、一昨日の夕方から高熱が続いて、今は集中治療室に入っています。今から主人と病院へ行くところでした。それから、遅くなりましたが、大地の誕生日に記念のプレゼントを頂き、ありがとうございました。一番のいい想い出になりました」とひとみが辛く言ったため、
「村山さん!どうしてそんな過去形で話すのですか? 大地君は必ず元気になりますから、大地君の前で決して悲しい顔をしないで下さい」と言って電話を切った。
田村は夢で見た大地のことは、あえて話さなかった。