奇跡を信じて
第36章 Rホテルのバーラウンジにて(後半へ)
「いろいろなことがあった。でも、俺は大地君のおかげで、ホームランを打つことができたんだ」と田村が言うと、
「田村にそんなドラマのようなことがあったなんて、俺は予想もできなかったよ。まさにお前は奇跡の人だな」と白鳥が言った。
「俺はそのような人間じゃないよ。ところで、11月中旬から12月上旬で、宴会場を押さえることができる日を教えてもらえないかな? 本来なら球団側で手配をすることになっていたんだが、マスコミに気付かれる可能性もあるので、俺が頼んでホテルを変えてもらうことにしたんだ。そのような理由で、この前、白鳥に電話を入れたんだ」と田村が言うと、
「どうもありがとう。ぜひとも協力させてもらうよ」と白鳥は言った。
後日、白鳥は田村へ連絡を入れ、12月11日(土)12時に宴会場を押さえたと伝えた。
その3日後に、クイーンズホテルの営業担当の矢野が、ジャガーズの球団事務所へ行き、打ち合わせをした。
ジャガーズ側の要望としては、マスコミには伝えないこと、そして、今回の目的は、ジャガーズの優勝、田村のホームラン王を祝う会であったが、宴会席名を伏せる条件があった。
集まる人数は、ジャガーズの選手、球団関係者、約40名、一部の野球評論家、そして、招待された大地の家族を含めて、約50名であった。