不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第1章 瀬川くんが既婚者?!
「あぁああ〜〜〜!!!ショックすぎるぅ〜〜〜……!!」
わざとらしく大きなため息をつく私に、親友の紗奈(さな)が言う。
「いやいや、ネタでしょ?まぁミライは瀬川と仲良かったもんねぇ。」
私と紗奈は小学生の頃から仲が良く、家もすぐ近く。
毎日いっしょに登下校していたし、部活も同じテニス部だった。
瀬川くんと言うのも私たちの同級生で、私が瀬川くんと仲良くなったのは中学に上がってからだった。
同じクラスで、隣の席。
背がとっても高くて、剣道部に所属していた。
「ネタじゃないよ、マジでショックなんだよぉぉう…」
あの可愛かった少女時代はあっという間に過ぎ去り、今私たちは30歳。
瀬川くんが同級生と結婚したという情報を耳にして、私はすごくショックを受けているところ。
「でも相手がまさか紀子(のりこ)だとはね。」
興味がなさそうにも聞こえる紗奈の言葉に、中学時代の紀子を思いだす。
当時からほとんど関わりがなかったし、そのあとどうしていたかも全然知らなかった。
知らぬ間に、まさか瀬川くんと恋に落ちていたなんて…!!
「うえ〜〜〜ん…!!!」
よからぬ妄想が広がり、まただだをこねる。
「これこれ、あんたにはフミさんがいるでしょうが〜」
フミとは私の旦那である。
「紗奈さぁん…それとこれとは違うのよぉ…」
「…どう違うのよ?」
ほおずえをつきながら黙る私を、紗奈はニヤニヤと笑いながら見つめている。
瀬川くんが教師になったという話は、何年か前に風の噂で聞いていた。
あとから聞いた話によると紀子も教師を志していたらしく、なにかと接点があったみたいだ。