不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第1章 瀬川くんが既婚者?!
そもそも中学生の頃、私にはコウヘイ君という好きな人がいた。
コウヘイ君と瀬川くんは小学生の頃から仲が良かった。
私がコウヘイ君のことを好きだって瀬川くんは知っていたから、よくからかわれていたっけ…
「コウヘイ君が結婚したならショックってのも少しは分かるけどさぁ。」
爪をいじりながらつぶやく紗奈は、最近お腹が大きくなってきた。予定日は半年後だけど、夫は居ない。
「コウヘイ君はさぁ…憧れだからさぁ…」
そう。
コウヘイ君のことが好きだったし、バレンタインにはチョコを渡したりもした。だけど今思えば、ほとんど話したことがないしどんな人なのかもよく知らないのである。
まだまだ子供だった私の恋愛は"憧れ"だった。
コウヘイ君は、一見おっとりしたタイプに見えるけれどテニスがすごく上手だった。中学1年生なのに先輩たちを追い抜いて、いろんな大会に出場していた。
そういえば瀬川くんも剣道が上手だったみたいだけれど、活動場所が違ったから全然知らないなぁ…。
「……ライ…ミライってばー!ちょっと!聞いてるー?!」
紗奈の呼びかけにビクッとしてしまった。
「ん?なに?ボーッとしてた!」
「だからね、今度同窓会があるって話じゃん。グループチャット見た?」