不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第7章 視線
店内がかなり盛り上がってきた。
みんなそれぞれ好きなところへ移動したり、肩を組んではしゃいだり、隅の方では当時からおとなしかった子たちがクスクスと談笑していたりする。
「昔に戻ったみたいで楽しいね。」
私にだけ聞こえる声で奈美が言う。
「うんうん。そういえば…紀子はやっぱりいないね」
奈美よりもさらに声をひそめて答えると、奈美は口を曲げながらうんうんと頷く。
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いつのまにか私と奈美以外の3人はどこかに移動していて、別の同級生が座っている。
そこへミノル君もやってきて、奈美と久しぶりの再会に乾杯をしたところで、離れたところから私も別の友達に呼ばれた。
ミノル君と奈美もおしゃべりを楽しんでいるようだし、私も席を離れる事にした。
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しばらく違う場所で同級生との談笑を楽しんでいたけれど、節々で瀬川くんの姿を探してしまう。
あれ……見当たらないなぁ。
つい気をゆるめてキョロキョロしていると、突然うしろから声をかけられた。
「…誰か探してんの?」
そこには瀬川くんが立っていて、私はびっくりしてうまく答えられない。
「えっ?!あっ…いや、べ、べつに?」
瀬川くんは歯を見せて笑うと、私の隣の椅子に座った。
同じテーブルには瀬川くんと仲が良い男友達もいたから、「お、瀬川きたな〜!」と歓迎されている。