不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第7章 視線
店の外に出ると、お酒のせいか瀬川くんのせいか…火照っていた頬が、ひんやりと冷える。
伸びた道の先を見ると、アンナはほんの10メートル先くらいで仲間たちとはしゃぎながら歩いている。
小走りで追いかけながら、ふと思う。
すっごく寒いなぁ…
……ん?!?!
あれ?!
私はお店にマフラーを忘れたことに気付く。
アンナが私を見つけて、
「ミライ〜!!ダーツするぞぉ〜!」
とノリノリだ。
「マフラーわすれたっ!
アンナ先行ってて〜!」
すぐさま踵を返してお店に小走りで戻る。
うしろからアンナの声がした。
すっかり出来上がっているようだ。
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お店にたどり着き、ガラスのドアを開けて勢いよく店内に入る。
…ドンっ!!!
突然なにかにぶつかった。
「痛っ!!!ごめんっ……」
とっさに謝りながら見ると、瀬川くんが立っていた。
「え、なにしてんの(笑)」
私は瀬川くんの胸元に勢いよくぶつかってしまったらしい。
鼻を押さえながら、
「マフラーわすれちゃって…」
と言うと、
「これだろ?」
と瀬川くんが手に持っていたワインレッドのマフラーを私の首にひっかける。
「あ、そうこれ。ありがとう」
と言っている間に、瀬川くんはマフラーをぐるぐると巻き付ける。
大きな手が目の前を何度も通り過ぎる。
「どうやんのこれ(笑)」
とか言いながら、結局全部を私の首に巻きつけて笑う。
「瀬川くん!!巻きすぎだよぉ」
となりではコウヘイくんもケラケラと笑っている。