不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第7章 視線
「っていうかお前、前も見ずに突っ走ってくんの危なすぎ(笑)」
「ごめぇん…!」
相変わらず鼻を押さえている私に、
「ミライちゃんって可愛い人だね。」
とコウヘイ君が言った。
突然すぎて理解できないでいると、店の中からどんどん人が出てきて押し出される形で外に出た。
「よし、行こう!」
瀬川くんは私の肩を持って向きを変え、背中をポンと叩いた。
コウヘイ君の言葉も瀬川くんのボディタッチも、何がなんだか分からないまま歩き出す。
「お前チビだな。」
瀬川くんの一言に、私はタイムスリップしたような錯覚に陥る。
あの頃から背が高かった瀬川くんに、私はいつもチビだとからかわれていた。
「私がチビなんじゃなくて、瀬川くんが高すぎるんだよ。一体何センチなの?」
「最後に測ったの大学のときだけど、181だったかな。お前は?」
「でかっ!…私は……151だけど…?」
「やっぱチビじゃん(笑)」
もぉ、うるさいなぁ!なんて笑いながら、背の高い2人の真ん中で私ははしゃいでいた。
携帯が鳴って、画面を見ると奈美からだった。
「もしもし?奈美?
ミノル君と話してたから、先に店出たよ〜!」
「うん、ごめんね、ちゃんと挨拶できなかったんだけど…恭介の事もあるし、私やっぱり二次会はやめとこうと思って」
「あぁ、そっかぁ。もっと一緒に飲みたかったけど、恭ちゃんが待ってるし…また今度だね!ミノルくんは?」
「うん、一緒。タクシーで回ってくれるって言うから、ミノルも二次会は不参加だね。」
「え〜ミノルくん優しいなぁ。奈美、気をつけて帰ってね。またメッセージする!」
「うん!ミライもたくさん楽しんで、帰りは気をつけてね。」