不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第10章 電話の向こう
夕方過ぎ、瀬川くんから返信が届いた。
[ 今まで仕事だった。遅くなって悪い!
来週末帰る予定だよ。なに、聞くってことは会ってくれんの?(笑)]
夕飯を作る手を止めてメッセージを見ると、
にやついてしまいそうな口元に気づく。
[ さっき平野から連絡が来て、キャンプの打ち合わせで食事でもって言ってたよ!
瀬川くんにも声かけたって言ってたから、もう聞いてる?
私はOKしたけど、瀬川くんは都合どう?]
私は作り途中だった夕飯の仕上げをして、ラップをかける。
フミは今日も、”梅宮さんと飯”だ。
ホットミルクに蜂蜜を少し入れて、かき混ぜながら仕事部屋に入る。
ここは普段フミも入ってこないし、自分の好きな本やマスコットを置いてリラックスできる場所だ。
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しばらくすると瀬川くんから再びメッセージが届く。
[ 今、平野と電話で話してた。
お前は何してんの?]
”今何してる?”なんてメッセージが来たことがなくて、私は違和感を感じながら返事を打った。
[ 家のことはいろいろ済んだから、仕事部屋で1人まったり中だよ~。
瀬川くんは?もうご飯たべた?]
送信ボタンを押すと、ほんの数十秒後に瀬川くんからの着信が鳴る。