不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第14章 カレー作り
慣れない手付きではあるが、瀬川くんは玉ねぎの根本を切り落としていく。
私はそれを剥いてはまたテーブルに戻す。
「じゃあ次は…---」
着々とこなしていく私たちとは裏腹に、紗奈たちはギャーギャーと盛り上がっている。
「そうじゃなくて、ここをこう切る!分かる?!あーあー!左手はこう!」
「ひぃ~怖いよぉ~」
「包丁持ってる時にふざけない(笑)」
「ふぁーい・・・」
たまねぎのカットが終わると、瀬川くんは目を真っ赤にしてまばたきをしながら私を見る。
笑いをこらえながら「おつかれさま」と言うと、「今笑っただろ(笑)」と言われ我慢できずに笑ってしまう。
「頑張ってくれたから、あとは私と紗奈で切ろっか」
「そうだね、2人はちょっと休憩でもしてな。これ切っちゃえばあとは鍋にぶっ込むだけだから~」
私がじゃがいもをカットしていく様子を、瀬川くんはずっと隣で見ていた。そっと肩が触れ合っているほどの距離に、急に恥ずかしくなる。
「それ、なにしてんの?」
「芽を取ってるんだよ。毒があるらしいけど…正直よく知らないのに、なんかもう無意識に取っちゃう(笑)」
「へぇ~!お前ほんと料理好きなんだね」
「あ、そうそう、餃子おいしかったよ。瀬川くん、ニンニク強いの平気?」
「むしろそのほうが好きかも。くさいけど、ビールが最高にうまいよね」
「そうそう(笑)次はもっとニンニク入れよう…か…な…?」
夢中で瀬川くんとおしゃべりしているところを、紗奈とコウヘイくんがジッと見ている事に気付く。