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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第1章 誕生

「おっ!?」

顔とお面の間が、ぐらついているのがわかる。

お面が、はずれたのだ。

「えっ、嘘だろ!?」

急いでマフラーの下から、お面を引き抜いた。

「はずれた……はずれた! よかったぁぁ……」

ホッと胸をなで下ろし、お面の裏側を見る。しかし、裏側には、接着された跡もなにもない。

どうやら、ピタッとはまっていたのが、少しずつずれてきてはずれたのだろう……と良夫は思った。

「びっくりさせんなよ……まあ、これで病院に行かずにすむ。いつもの道から行くか」と良夫は、歩いてきた道を戻っていった。職場にいくには、反対側の道を歩くのが近い。

アパートの前に近付いてきた時、パトカーが止まっているのに気が付いた。

いまは、警察に顔を見られても大丈夫だと、良夫は、どうどうとパトカーの前を通り過ぎるのであった。



この時、良夫はまだ今の自分がなにをしたのかを、知るよしもなかった。




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