無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「いったぁぁ～ぃ……」と弱々しく言いながら、女性が起き上がる。

良夫は、どこに鍵をいれたのか、上着やジーンズのポケットを探しまくっている。

「あれ、鍵、鍵、どこだ？」

すると、チャリンいう音と共に、何かが落ちる音がした。

音がした方へ、顔を向けると、そこには馬のキーホルダーがついた鍵があった。どうやら、ポケットに引っ掛かっていたのが落ちたようだ。

「あった」と良夫はそれを拾うべく、しゃがみこんだ。

それと同時に、なにかが良夫の体にのしかかってきた。

「うわっ！」

「いやっ！」

良夫の声と、女性の声が重なった。

良夫はバランスを崩し、横倒れになった。

金属音と、なにかが倒れる音が耳に入った。

びっくりした良夫が、起き上がると、先ほどの女性がうつ伏せに横たわっている。

鍵を拾った良夫は、「あ、俺がしゃがんだからけつまずいたんだ……ごめんなさい」とだけ言って、扉に鍵をかけて女性の横を通っていった。

「とりあえず、人目につかない道を選んで病院にいくか」と一人言を口にしながら、階段を下りていった。

「ヤバい！」

下りてからすぐに、階段の影に隠れる

見ると、先ほどの老人男性が、たまたま通りかかった警察官になにやら話し込んでいる。

良夫は、こんな姿を警察に見られてはいけないと、反対側の道を歩くことにした。

「なんでこんな目に、合わなきゃいかんのだ」と何度も舌打ちをする。

五分ほど、俯きながら歩いていると、突如、顔が軽くなった。