お面ウォーカー(大人ノベル版)
第2章 ええーっ!
はずれたお面を小脇に抱え、良夫は駅に向かった。
駅前のコンビニで朝食のパンとホットコーヒーを買い、駅のホームにあるベンチに腰掛け、寒さに震えながら朝食をとる。
四月とは思えない冷え込みに、周りの人の姿もまるで大晦日の参拝のようだ。
時代が進むにつれ、十数年前の新型ウイルスの猛威も薄れ、今では薬局で薬が買える。しかも、スマホやタブレット等を使ってのリモートワークが当たり前のようになり、学校や会社に行く人も少なくなってきたため、通勤ラッシュでの寿司詰め状態というのがなくなってきた。
良夫は、お面を裸のまま持つのは抵抗があったようで、いつの間にか上着の内側にいれていた。
電車が入ってきた。
扉が開くと、数人の乗客が降りてくる。中はそれほど混んではいないため、ゆっくり座ることができた。
次の次が、良夫が降りる駅。だが、すぐに到着するのはわかってはいるものの、この電車に揺られるわずかな時間が、なんとも心地良い。
ほんの五分ほど、仮眠をとる。
うつらうつらと頭を垂れる。良夫は、気付かなかった。上着の内側に入れたお面が、頭が揺れるたびにジワリジワリとせり上がってきていることを……。
お腹の前で組んだ腕がお面を押し上げ、やがてマフラーの内側から、顔を覗かせる。
一つ目の駅に着き、電車が止まると同時に勢いよく頭が揺れた。
駅前のコンビニで朝食のパンとホットコーヒーを買い、駅のホームにあるベンチに腰掛け、寒さに震えながら朝食をとる。
四月とは思えない冷え込みに、周りの人の姿もまるで大晦日の参拝のようだ。
時代が進むにつれ、十数年前の新型ウイルスの猛威も薄れ、今では薬局で薬が買える。しかも、スマホやタブレット等を使ってのリモートワークが当たり前のようになり、学校や会社に行く人も少なくなってきたため、通勤ラッシュでの寿司詰め状態というのがなくなってきた。
良夫は、お面を裸のまま持つのは抵抗があったようで、いつの間にか上着の内側にいれていた。
電車が入ってきた。
扉が開くと、数人の乗客が降りてくる。中はそれほど混んではいないため、ゆっくり座ることができた。
次の次が、良夫が降りる駅。だが、すぐに到着するのはわかってはいるものの、この電車に揺られるわずかな時間が、なんとも心地良い。
ほんの五分ほど、仮眠をとる。
うつらうつらと頭を垂れる。良夫は、気付かなかった。上着の内側に入れたお面が、頭が揺れるたびにジワリジワリとせり上がってきていることを……。
お腹の前で組んだ腕がお面を押し上げ、やがてマフラーの内側から、顔を覗かせる。
一つ目の駅に着き、電車が止まると同時に勢いよく頭が揺れた。