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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第9章 勝重からのプレゼント

良夫の後輩で、今では上司となった、製造部一課課長の勝重亮。

早朝、自宅のリビングで、なぜか頭を抱えていた。

テーブルの上にはタブレットが置かれ、その画面にはお面姿良夫の姿が映し出されていた。

「これって……田中さんか?」

会社では立場上、田中くんと呼んでいる勝重だが、やはり年齢では先輩と見ており、離れた所では、さん付けで呼んでいる。

勝重が頭を抱えている理由、それは……、

「これって、土産で田中さんにやったお面だよな……これ、ひょっとして田中さん?」

見ていたのは、ケータイ地域ニュースの記事。たまたま、数日前の記事に目が止まり、違法薬物の売人と向かい合っている、見覚えのあるお面をつけた男の写真が、画面に出てきた。

顔はお面で隠れているが、背格好だけを見れば、知る者からすれば、田中良夫だとすぐわかる。

「これは、田中さん流の嫌がらせか? わざわざこんなお面をつけて、犯罪者と向き合ってなにしてんだよ……」

記事には、謎のお面の男が薬物所持の男を捕らえ、警察に突き出したとあった。勝重は、話しを盛りに盛った記者の夕子の記事を真に受けたのだ。

「あのお面、そんなんじゃないんだよなぁ……まさか、バレたのか?」と額を押さえる。



それは、勝重夫妻が新婚旅行でインドネシアから日本へ戻り、空港からの帰宅途中でのこと。

夕方、タクシーの中で、勝重の妻が、

「会社の人にお土産は買ったの?」と聞いた。

「ああ、僕の上司には空港で許可が下りた地酒と置物、部下にはキーホルダーとか飾り物を買った……あ……しまった、一人忘れてた」

忘れたその一人、田中良夫の分を買い忘れているのに、気が付いた。

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