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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第9章 勝重からのプレゼント

「田中さんて、あなたの先輩でしょ? 式には来てた?」

「あぁ、でも上司以外に会社で招待状出した人は、田中さんだけなんだけど、往復ハガキを手で引き千切って、欠席に思いっきりデカい赤丸つけて送り返してきたよ。けど、世話になった人だしなぁ。なんで忘れたんだろ」

影が薄いからだとわかっていても、口には出さなかった。

勝重の妻は、口を尖らせて、

「別にいいんじゃない? だって祝儀も貰ってないのに、どうしてお土産買ってかなきゃいけないの?」

「一応、課長としての振る舞いだ。これから僕を課長として支えてもらいたいし、会社のためにも頑張ってもらわなきゃいけないからね」

「なのに、田中さんて方の分を忘れたのね」

「うん、まあ、世話になったけど存在感無いからね」

ついに、ハッキリと言った。

すると妻が、車の中からあるモノを見付けた。

「あ、ねぇ、あそこなんかどう?」と指を差す。

「ん?」

勝重が目を向けると、その先には民芸品のショップがあった。

「ねえ、あの店なら、インドネシアのお土産風のそれっぽいものがあるんじゃない?
時間もまだ早いし、開いてるわよ」

勝重は、でかした嫁さんと言わんばかりに、「それいただき」と、親指を立て、タクシーをここで止めてもらった。

急いでその店に入ると、日本の木彫りの像や、壁飾り等が多く、とてもインドネシアにありそうな物は見当たらない。

「困ったなぁ……仏像とか木彫りの熊とか、日本の物ばかりだ」と肩を落とす。

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