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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第9章 勝重からのプレゼント

あのお面がインドネシアの土産ではないことがバレたのでは……と勝重は心配していた。

だが、それが、記事にあったお面を顔につけて犯罪者を捕らえることと、どう結びつくのかがわからなかった。

「まさか、俺に対する見せしめ? 見せしめにしては、やり方がダイナミックすぎるなぁ。でも、あの人はよくわからない人だからなぁ。たしか、競馬で当てた金、全部プラモデルに使って、何一つ作ってないとか言って……確か押し入れに入りきらないからって、戦艦犬和のプラモを貰ったんだけど、作ってないし」

良夫にだけ現地のお土産を買っていなかったことと、民芸品屋で買った物を嘘をついて、幸せが訪れるお面とか適当に言って差し出したことに、後ろめたさを感じていた。

それと同時に、民芸品屋で買ったことがバレて、その嫌がらせでお面をつけて歩いているのかと思い込んでいた。

このままシラをきるか、素直に謝るか……。

考え込まずとも結論は出た。

「あの人、深く考えない人だから、大丈夫だろ」

シラをきることにした。

「あ……」と勝重は、なにかを思い出した。

急いで、自分の部屋に向かい、部屋の隅に置いていたアタッシュケースの中を覗いてみた。

「あった」

中から出てきたのは、民芸品屋でお面と一緒に渡された、銀色のリングだった。

「これも渡した方が、よかったかなぁ」

お土産を渡す前日、お面を紙袋に入れ、リングも中に入れようとした時、妻から、

「お土産は一人一個だから、田中さんもお面だけでいいんじゃない?」と言われ、リングはアタッシュケースに入れ込んだままだった。

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