お面ウォーカー(大人ノベル版)
第9章 勝重からのプレゼント
「ようやく思い出してくれましたか」
「そんなもん、忘れるわけないやないの」
忘れていた。
二郎は、コーヒーを飲み干すと、1枚のメモ用紙を良夫の前に出した。
「俺の携帯番号です。今晩7時に平野駅前で待ってます。都合が悪くなったら、この番号にかけて下さい。とにかく、田中さんでないと相談出来ないことなので、よろしくお願いします」
二郎は、テーブルすれすれまで頭を下げると、「では失礼します」と立ち上がった。
良夫は、空のコーヒーカップを指差し、「待ちなさい。自分が飲んだ分は払っていきなさいよの」と言うと、二郎は、
「あ、すいません、気付きませんで」と、小銭入れを出して、コーヒー代、400円を出してテーブルの上に置いた。
良夫は、「あの、仕事が忙しくなったら電話するから」とだけ言って、手を振った。
「よろしくお願いします」
二郎は、再び頭を下げ、店から出ていった。
しばらくして、「あれ? あのコーヒー、俺が出したやつじゃん」と良夫の策略に気付き、フフッと笑い、「ま、いっか」とその場を去っていった。
良夫は、テーブルに残った小銭を眺め、
「あ、やべ……これ、あの兄ちゃんが奢ってくれたやつやん。しまった、余分にお金出させちゃった……んもう、今晩会ってお金返さにゃならんがな……今から追いかけても遅いやろなぁ」
今から走れば、充分間に合う距離だが、良夫は忘れてシラを切るという選択肢を選んだ。
「そんなもん、忘れるわけないやないの」
忘れていた。
二郎は、コーヒーを飲み干すと、1枚のメモ用紙を良夫の前に出した。
「俺の携帯番号です。今晩7時に平野駅前で待ってます。都合が悪くなったら、この番号にかけて下さい。とにかく、田中さんでないと相談出来ないことなので、よろしくお願いします」
二郎は、テーブルすれすれまで頭を下げると、「では失礼します」と立ち上がった。
良夫は、空のコーヒーカップを指差し、「待ちなさい。自分が飲んだ分は払っていきなさいよの」と言うと、二郎は、
「あ、すいません、気付きませんで」と、小銭入れを出して、コーヒー代、400円を出してテーブルの上に置いた。
良夫は、「あの、仕事が忙しくなったら電話するから」とだけ言って、手を振った。
「よろしくお願いします」
二郎は、再び頭を下げ、店から出ていった。
しばらくして、「あれ? あのコーヒー、俺が出したやつじゃん」と良夫の策略に気付き、フフッと笑い、「ま、いっか」とその場を去っていった。
良夫は、テーブルに残った小銭を眺め、
「あ、やべ……これ、あの兄ちゃんが奢ってくれたやつやん。しまった、余分にお金出させちゃった……んもう、今晩会ってお金返さにゃならんがな……今から追いかけても遅いやろなぁ」
今から走れば、充分間に合う距離だが、良夫は忘れてシラを切るという選択肢を選んだ。