お面ウォーカー(大人ノベル版)
第9章 勝重からのプレゼント
濃いいぶし銀のリングが、蛍光灯の光を反射させ、周囲の幾何学模様のような彫り物を浮き上がらせる。
アクセサリーのような物には、まったくと言っていいほど縁の無い良夫だが、幸運をもたらすと言われれば、ありがたく身につける。
「ちょっとキツいが手首には通るわ。え、くれんの?」と左手首にはめた、
「もちろん、そのために持ってきました」
「いやぁ、これで億万長者になったら、中古車の1台くらいプレゼントするからな」
「中古車ですか……」
良夫は、工場に行くため階段に向かう。ちょうど、下からモップを持って上がってきた事務員のおばさんとすれ違う。
しかも、モップはきっちりと水がキレておらず、数滴ほどの水がポタポタと垂れ落ちていた。
良夫は床の水滴に足を取られ、上から階段へと身を乗り出した。
「うわ、あぶねぇ!」
「田中くん!!」
勝重が駆け寄るが、良夫は下の踊り場まで落ちていた。
だが、良夫は、野球の滑り込みのようなかたちで仰向けで左腕をつき、半身を回転させて起き上がった。
「田中くん、大丈夫か! ケガは?」
勝重が心配そうに下りてくる。
良夫は、得意げに右手人差し指を突き出し、
「見たか!? 俺、一回転して着地したんだぞ! ビックリしたけど、今のアクロバットはなかなか決まったわぁ、アハハハハ」
痛がる様子もなく、良夫は「さっそく助けてもらったんかもしれんなぁ。おおきになぁ」と手首のリングをさする。
良夫は、調子に乗って、踊り場から下る6段ほどある階段をジャンプした。
うつぶせに大の字になる良夫を、勝重は、呆然として眺めていた。
アクセサリーのような物には、まったくと言っていいほど縁の無い良夫だが、幸運をもたらすと言われれば、ありがたく身につける。
「ちょっとキツいが手首には通るわ。え、くれんの?」と左手首にはめた、
「もちろん、そのために持ってきました」
「いやぁ、これで億万長者になったら、中古車の1台くらいプレゼントするからな」
「中古車ですか……」
良夫は、工場に行くため階段に向かう。ちょうど、下からモップを持って上がってきた事務員のおばさんとすれ違う。
しかも、モップはきっちりと水がキレておらず、数滴ほどの水がポタポタと垂れ落ちていた。
良夫は床の水滴に足を取られ、上から階段へと身を乗り出した。
「うわ、あぶねぇ!」
「田中くん!!」
勝重が駆け寄るが、良夫は下の踊り場まで落ちていた。
だが、良夫は、野球の滑り込みのようなかたちで仰向けで左腕をつき、半身を回転させて起き上がった。
「田中くん、大丈夫か! ケガは?」
勝重が心配そうに下りてくる。
良夫は、得意げに右手人差し指を突き出し、
「見たか!? 俺、一回転して着地したんだぞ! ビックリしたけど、今のアクロバットはなかなか決まったわぁ、アハハハハ」
痛がる様子もなく、良夫は「さっそく助けてもらったんかもしれんなぁ。おおきになぁ」と手首のリングをさする。
良夫は、調子に乗って、踊り場から下る6段ほどある階段をジャンプした。
うつぶせに大の字になる良夫を、勝重は、呆然として眺めていた。