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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第9章 勝重からのプレゼント

勝重は、額を押さえ小さくため息をつく。

「田中くん、今日はなにかあるんですか? 堅いレースがあるとか、模型店のイベントとか……」

「なんで、その二択なんだ?」

「田中くんが仕事休んでまで行くとなったら、それしかないでしょ」

良夫はなにも言い返せず、「じゃあ、仕事するんで……失礼しました」と逃げるように事務室を出ていった。

「あ、ちょっと待って」と勝重が呼びとめる。

良夫は、足を止めて嫌々振り返る。

「なに、早退でもさせてくれるの?」

「違います。いや、仕事のことではないんですが、田中くんに渡したい物があるんです」

「はあ?」

「ちょっと待って」と勝重は、事務室に入り、小さな紙袋を持って出てきた。

「これを渡すのを忘れてました」

勝重は紙袋から、銀色のリングを取り出した。

「実は、この前、お土産に差し上げたお面と一緒についていたもので、これを渡すのを忘れてまして」

「いらんいらんいらん」

良夫は、頑なに拒否をする。

「どうして? これも幸せを呼ぶアイテムなんですよ」

「もう騙されへんぞ! 俺はあのお面でどんだけ大変な思いをしてると思ってんだよ!!」

「このリングも一緒につけないと、お面だけでは幸せの効果が半減してしまうんです。おそらく次の新月を迎えるころ、宝くじは一等を狙確率が上がり、競馬は大穴的中間違いなし、田中くんの魅力も上がり、理想の女性が次から次へと声をかけ……」

「なにをしてるんだ。さっさと渡しなさい」

良夫はリングを受け取った。

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