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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第10章 山田二郎

額に大きなコブと、頬にアザをつくりながら、良夫は定時を迎える。

模型店に行く予定をしていたが、なぜか山田二郎と会う約束をしてしまったため、やむなく諦めることにした。

会社の風呂場で汗を流し、何度もため息をつく。

「断って蹴りでもされたらたまらんわ」

もちろん、断っても二郎は蹴ったりはしないが、良夫が持つ格闘家のイメージがそれだ。

長谷川が股間をペタペタと振りながら、良夫の顔を見つめ、

「おう、田中さん、えらい男前になっとるやないかいな」

「そやろ、今やったらジャニーズシニアでも放っておかんで。てか、先からしずくが飛んでるから振るな」と良夫は苦笑い。

「なに言うてんねん。トイレで出しきらん分をここで散らして後で洗うんやがな。こうでもせんと、尿漏れしてたまらんのや」

「掃除してくれるおばちゃんが言うてたわ。この風呂の排水溝から公衆便所の香りがするって」

「しゃあないわ。うちの男性社員の小便がここに流れとるんや。水が流れたら、トイレもなんでも一緒やで」

「どこでオシッコしとんねん。頼むから浴槽には入れんでや」

良夫はそう言って、浴室から出ると、そこに勝重が立っていた。

「あ、入浴中だった?」

「いま出てきた。てか、哀れな目でチ○コ見るな」

「見てないから。あの、サングラスかけた若い男性が訪ねてきてるけど、知り合い?」

「男性? さぁ……てか、悲惨な目でチン○見るな」

「見てないっつーの」


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