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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第10章 山田二郎

二郎はハンドルを握りながら、その話をふんふんと聞いていた。

「ですが、田中さんが写った記事には、事件とかなにかしら解決したような事が多いじゃないですか」

「いや、知らんよ。だって、あの携帯ニュース見てないし」

「読んでるかぎり、謎のお面の人として活躍してるじゃないですか。変質者捕らえたり、悪質なロボット追い払ったり、薬の売人まで見付けて……頭が下がります」

「いや、あれすべてお面の呪いだよ、呪い! てか、どこに行くの?」

「もう着きますよ」

車は、少数しか置けないコインパーキングの中に入っていく。街灯の下にあたるところに、車を止めた。

二郎は車を降りて、「あの店に行きましょう」と指を差す。

そこは、数軒の飲食店が入る雑居ビルだ。

良夫は、呆然とビルを眺める。

「なんか、敷居の高そうな所やね。てか、お酒飲むの?」

「はい、良さげなBARを見付けたので、そこに行きましょう。車は大丈夫です。自動運転付きですから」

「時代だねぇ」

二郎は、一階奥に足を進め、突き当たりの頑丈そうな木製の扉を差した。

「ここです」

看板には、「BAR」とだけ書いてある。

扉を開けると、白いワイシャツに黒いスラックス姿の男性一人と若い女性二人がこちらを向いた。

「いらっしゃいませ」

大きく胸が開いた赤いドレス姿の女性が、「こちらに」とカウンターに案内するが、二郎は、端のテーブル席を示し、

「あそこでもいいかな」と聞いた。

「どうぞ」

女性は言葉足らずに案内をする。

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