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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第10章 山田二郎

その意味は、格闘技やプロレスでよく見られる、

“もう一度チャンスをくれ”

の意味だ。

二郎は、その返しに右手人差し指を海奈に向け、次は親指を立てて、自分の胸を示した。

『次まで待っている』

海奈は笑顔を浮かべ、細い指で目元を拭うと、署内の奥へと消えていった。


車に戻ると、良夫はまだプラモデルに頬ずりしていた。

そして二郎を見ると、「そうそう、あの怪我した組長さん、なんかヤクザはいま世間でややこしいことになるから、もう関わらんみたいなこと言うてたわ」

「そうなんすか。それは安心だ」

二郎がハンドルを握ると、良夫はすぐに助手席に移動した。

「彼女さんもすくえて、問題も解決して、疲れたんちゃう? 自動運転付きやったら、面白い居酒屋知ってるんやけど、行かへん? プラモデルのお返しに、おごるわ」

良夫が嬉しそうに言うと、二郎は、

「ありがとうございます」と車を走らせた。








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