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蜃気楼の女

第25章 1週間前

「はーん、どういうことだ? なんか、おじさん、呼ばわりされて、俺、まだ30代だぞ。まあ、きみからすれば、おじさんかもしれないけど、なんだ? 俺をたらし込めと田所に言われているわけ? あいつが考えそうなことだ。俺を仲間に引き入れろという魂胆か?」
 橋本はそう言ってから、女子生徒をさらに見た。清楚な落ち着いた色合いの制服を着ているとはいえ、かなりのスタイルのいい子だった。橋本は田所が仲間に取り込めと指令するくらいだから、この美少女は花魁(おいらん)学科のハイレベル生徒に違いないと確信した。かなりのハイスペックな少女だろう。これはいい機会だ。この子を偽善教育者・田所糾弾の突破口にしよう、と瞬時に考えが及んだ。
「分かった。俺がきみの友だちになってやる。学校のことを洗いざらい話せ、いいか? きみ、名前、なんていうの?」

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