
蜃気楼の女
第25章 1週間前
田所は部屋のドアを見つめた。直後、ドアが開かれて山野櫻子が部屋に入ってきた。
正門前に立っていた橋本は平八郎に、突然、電話を切られ、舌鼓を打った。
「くそ、ふざけやがって、偽善者め!」
橋本は一眼レフカメラのモニターを再生した。画面に櫻子が写っている。櫻子が歩いている姿、門の前で考えている姿、意を決したような顔が大きく写っていた。
「しっかし、いい女だよな。こんないい女が後継者とは恐れ入ったな…… この美貌だものな、女子生徒を獲得するのにいい広告塔だ、しかし、中身はどうなのかねえ……こんな学校の後継者になるなんて、いかれた淫乱女に違いないな」
そのとき、橋本は背中を後ろから押され、びっくりして、1歩、慌てて離れてから振り返った。きれいな少女が立っていた。笑顔を振りまきながら橋本を見て笑っている。制服を着ているからこの学校の生徒だろう。美しい顔立ちを見つめると、どことなくかわいさもある。不思議なオーラを放つ少女だ。
「何? 何か僕に用かな?」
橋本は女子生徒を足下から頭まで目で追った。かなりの美少女である。
「おじさん、この学校のこと、調べているんですよね?」
「何? そんなことないよ、通りかかっただけさ。きみ、土曜日、今日は学校、昼でおしまいだろ? まだ、帰らないのか? 俺に何のよう? あっ、田所のさしがねか?」
「ウーーン、ちょっと違うような? でも、まあ、そんな感じです。おじさんのこと、学園長から詳しく聞いてます。おじさんみたいな、熱血おじさん、容姿もわりかし、タイプです。この学校の正しい教育方針を説明するように言われています。そんなことの前に、あたしと仲良くしませんか? おじさんさん、タイプだし……」
正門前に立っていた橋本は平八郎に、突然、電話を切られ、舌鼓を打った。
「くそ、ふざけやがって、偽善者め!」
橋本は一眼レフカメラのモニターを再生した。画面に櫻子が写っている。櫻子が歩いている姿、門の前で考えている姿、意を決したような顔が大きく写っていた。
「しっかし、いい女だよな。こんないい女が後継者とは恐れ入ったな…… この美貌だものな、女子生徒を獲得するのにいい広告塔だ、しかし、中身はどうなのかねえ……こんな学校の後継者になるなんて、いかれた淫乱女に違いないな」
そのとき、橋本は背中を後ろから押され、びっくりして、1歩、慌てて離れてから振り返った。きれいな少女が立っていた。笑顔を振りまきながら橋本を見て笑っている。制服を着ているからこの学校の生徒だろう。美しい顔立ちを見つめると、どことなくかわいさもある。不思議なオーラを放つ少女だ。
「何? 何か僕に用かな?」
橋本は女子生徒を足下から頭まで目で追った。かなりの美少女である。
「おじさん、この学校のこと、調べているんですよね?」
「何? そんなことないよ、通りかかっただけさ。きみ、土曜日、今日は学校、昼でおしまいだろ? まだ、帰らないのか? 俺に何のよう? あっ、田所のさしがねか?」
「ウーーン、ちょっと違うような? でも、まあ、そんな感じです。おじさんのこと、学園長から詳しく聞いてます。おじさんみたいな、熱血おじさん、容姿もわりかし、タイプです。この学校の正しい教育方針を説明するように言われています。そんなことの前に、あたしと仲良くしませんか? おじさんさん、タイプだし……」
