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蜃気楼の女

第39章 学園の衰退

 櫻子は筋肉隆々の体になった邪心・田所に期待したが、女にもてたことがなかった邪心・田所は、かつてセックスしたことがなかった。櫻子を満足させられるだけの性技を備えていなかった。邪心・田所といえども、邪心程度の能力では、超能力を持ち破壊的なパワーを持つ櫻子に、超能力で従わせることは不可能だった。相手は原子サイズに細胞を破壊できる超能力を備えた無敵の女だ。学園の女子生徒は田所の教育方針に愛想を尽かし、生徒が徐々に転校し始めた頃、櫻子は学園外に、「学校法人こころとからだをうつくしくするスクール」を創設した。教育方針は、「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」、昔から唱えられている近代オリンピック創始者であるクーベルタンの言葉だ。まさに、櫻子の生い立ちと重なるものがあり、櫻子はこの思想に傾倒し、これを自分の目指す教育方針に掲げ学校を創設する目標を掲げた。安田尚子は櫻子の右腕となって働いた。橋本のいなくなった尚子は、櫻子を姉のように慕って、二人は急速に親しくなり、安田邸にも招き入れ、両親も歓待した。学園設立のための資金は尚子の父・安田仁が中心になって協力してくれたおかげで、たくさんのパトロンが付いた。櫻子の最大の目標は、虐げられる人間をなくすこと。アラビアーナ国の認知、そのため、世界から、紛争、けんか、嫉妬、ねたみ、そねみ、いじめ、暴力、パワハラ、セクハラ、などなど、すべての負の思考を根絶することだ。当然、アラビアーナ人ゆかりの安田仁・ナルミ夫婦も全面協力してくれることになった。併せて、邪心・田所のいかがわしい教育方針を掲げた学園をつぶし、学園長を隔離し、永久的に拘束することが、厚労省の主導によって、進められることになっていた。

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