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蜃気楼の女

第40章 橋本のささやき

「あらぁーーー 全然、考えていなかったわぁー その手があったわねぇ、最初から、平八さんと会ったとき、すぐ、セックスしていたら、こんな変な展開にならなかったかもねぇ あんたぁー さっすがねぇー 早速、試してみる価値はあるかもね」
 二人が会話している途中で、尚子の脳に橋本が声を掛けてきた。
「おーい、それで行こう、その手がいいぞぉー」
「えぇー おじさん、あたしたちの声が聞こえるの?」
「もちろん、はっきり聞こえているよ、尚子からもらった超能力を使いこなせるように、なってきたみたいだぁ」
「ねえー おじさんって、あたしの体の中にいるの?」
「ああ、いるみたいだなぁー 確信はないけどな」
「えぇー どうしてぇ?ー」
「尚子は俺の心棒から放出された子どもたちを全部飲んでいたろ? 俺の心か体か分からないが、その原子が尚子の体にしみこんだみたいだよ。どこにさまよっているのか、最初、俺も分からなかったけど、尚子の体の中にいることが少しずつ分かってきた。今まで、尚子の中で、復活する方法を考えていたんだけど、その方法を見つけることができた。これから実行することは、櫻子さんが中心になって活躍してもらう必要があるな。だから、これから、そのプラン通りに動いてほしいんだ」
 橋本の声を聞いているうち、尚子はワクワクし、心臓の鼓動が速くなった。自分の中に愛するおじさんがずっといてくれていた、と思っただけで感激した。これからおじさんとずっと一緒にいられる。うれしくて尚子の目から涙が流れた。

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