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蜃気楼の女

第2章 魔性の女・安田尚子

「まあ、幻想かもしれないね。今までのは進ちゃんが作った幻想よ。それがあなたの超能力よ。でも、今は、あたしのほうが力はちょっと上かな。だから、この場限りであなたの記憶は一時的に消してあげる。そのほうが、いいと思うの。あたしがあなたを必要になったとき、お願いすることにする。それまでは、我慢するわ。あたしの愛おしい、親愛なる進ちゃん……」
 進一の頬に手を置いていた尚子は、唇を近づけていくと進一の唇に重ねた。この瞬間、進一は今までの記憶の一部を失った。

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