蜃気楼の女
第4章 安田邸
それから、隣の安田邸を訪問した。門扉のインターホンのボタンを押す。2秒ほど、間があった。
「わーい 進ちゃん、待ってましたアーー 今、解錠しますねー」
スピーカーから尚子のいつもより弾んだ声が響いた。カチャという音と共に、門扉が自動で開門していく。4年前にはこんな設備はなかった。父親が、昨年、事務次官から厚生労働大臣に首相から指名を受け任官した。そのとき、この設備を付けたのだろう。門が開くと、30代くらいの頑強そうな黒づくめのスーツ姿の男が姿を現した。進一の前で軽く会釈した。
「ご案内します。どうぞ、こちらへ」
どうやら、警備官のようだ。勝手が分かっていても、従ったほうが良さそうである。進一は一回りも大きな男の背中を見ながら後を付いて玄関に入った。玄関では尚子がにこにこ顔で両手を高く上げて右左に大きく振っていた。
「ヤー 進ちゃん、さあ、入って、入って」
尚子は進一の二の腕を握ると、手を引いて奥へ進んでいく。
「さあ、どうぞーーー ずずっと、どうぞ」
「この部屋、尚ちゃんの部屋? 先にお父さんに挨拶したほうがいいでしょ? 」
「ごめんなさい、父は総理から緊急の要件で呼び出されて外出してしまったの。でも、くれぐれも、十分にもてなすように言われたのでゆっくりしていってね。今、母は料理を作ってくれているからあと2時間ほど掛かるからって。それまで、部屋であたしと、いちゃいちゃしよ! 」
尚子に背中を押され、せかされるように廊下を進み、尚子の部屋と思われる扉を開けて入っていく。進一が4年前に訪問していた頃と比べて、尚子の家も随分変わった。家を改修したようだ。尚子の部屋は、かなり広かった。40畳ほどのスペースの部屋である。
「わーい 進ちゃん、待ってましたアーー 今、解錠しますねー」
スピーカーから尚子のいつもより弾んだ声が響いた。カチャという音と共に、門扉が自動で開門していく。4年前にはこんな設備はなかった。父親が、昨年、事務次官から厚生労働大臣に首相から指名を受け任官した。そのとき、この設備を付けたのだろう。門が開くと、30代くらいの頑強そうな黒づくめのスーツ姿の男が姿を現した。進一の前で軽く会釈した。
「ご案内します。どうぞ、こちらへ」
どうやら、警備官のようだ。勝手が分かっていても、従ったほうが良さそうである。進一は一回りも大きな男の背中を見ながら後を付いて玄関に入った。玄関では尚子がにこにこ顔で両手を高く上げて右左に大きく振っていた。
「ヤー 進ちゃん、さあ、入って、入って」
尚子は進一の二の腕を握ると、手を引いて奥へ進んでいく。
「さあ、どうぞーーー ずずっと、どうぞ」
「この部屋、尚ちゃんの部屋? 先にお父さんに挨拶したほうがいいでしょ? 」
「ごめんなさい、父は総理から緊急の要件で呼び出されて外出してしまったの。でも、くれぐれも、十分にもてなすように言われたのでゆっくりしていってね。今、母は料理を作ってくれているからあと2時間ほど掛かるからって。それまで、部屋であたしと、いちゃいちゃしよ! 」
尚子に背中を押され、せかされるように廊下を進み、尚子の部屋と思われる扉を開けて入っていく。進一が4年前に訪問していた頃と比べて、尚子の家も随分変わった。家を改修したようだ。尚子の部屋は、かなり広かった。40畳ほどのスペースの部屋である。