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蜃気楼の女

第7章 1996年5月 クウェート

「安田さん、安田さん…… 」
 誰かの声掛けに、医務室で眠っていた安田が目を覚ました。目の前に、天井に取り付けられた大型の羽根がゆっくり回転していた。安田は見慣れぬ風景に戸惑いを感じた。
「安田さん、安田さん」
 安田は名前を呼ぶ声のするほうへ顔を向けた。ライトイエローのスーツ姿の女性が視界に入った。肩に掛かった黒髪が風になびいていた。先ほどの羽根が部屋の空気をかくはんしている。その黒髪がスーツの胸元からあふれた豊満な乳房の上でさわさわ揺れていた。スーツの下に筋骨隆々の体躯が感じられる美人女性を目の当たりにし、安田は少しだけ興奮し、彼の中心が大きくなった。
「磁気嵐がひどくて、大変な旅でしたね。気分はいかがですか? 」
 女は安田が横たわるベッドの脇に近づくと、そのまま、大きな尻を安田の腰の横に下ろした。女の弾力のある尻が横に置いていた安田の手の甲の上に載った。
 安田はその行為に甘えることにした。女の腕をつかむと、自分の横に倒して自分の顔の横に彼女の顔を寄せた。女は嫌がることもなく唇を安田に寄せてきた。安田は女の唇に自分の唇を重ねた。女は全く嫌がらずキスを受け入れた。気をよくした安田は舌を女の口の中に入れてみると、女も安田の舌を包むように絡めてきた。舌を絡め合っただけで、安田の中心は更に怒張していった。安田が女の背中に右手を回し、背中に手のひらを当てた。女からわずかなと息がもれた。
「アアアッ…… 」
 あえぐ女のわずかに開けた口を安田はキスをしてふさいだ。女は苦しなって顔を離した。
「駄目…… この部屋に誰か来るかもしれませんので…… あなたの高官としてのお立場が損なわれましてよ…… 」
 女はそう言うと、上体を起こし、安田に捕まれていた手を外して、ベッドの脇に立ち、スカートの乱れを正した。
「そうか? 残念だな。では、この続きは別の場所で、と言うことでいいのかな? 」
 安田はいきり立ってしまった性器をどう静めるたらいいのか困った。
「ええ、目的地に到着いたしましたらゆっくりお相手させてください。紹介が遅れましたが、クウェート石油クウェート支社のナルミ・マイムーナです。これからは私があなたを公私ともにお世話します…… 」

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