蜃気楼の女
第10章 国軍参謀長ハサン
安田とナルミが抱き合ったまま放心状態になっていた。やがて、抱き合った二人のエネルギーが高まる。エネルギーの放出は増大し、周囲の物質を振動させる。二人の体からまばゆい光が放出された。高周波のマイクロ波が発生した。その無数の波はナルミの父、側近のすべての体を貫通し、すべての生物の体内の液体を沸騰させる。高温に耐えられない生命を死に至らせる。つまり、ハサンの息の掛かったものが二人の発する高周波により、体が沸騰し死亡していく。徐々に体が熱くなる感覚を感じながら、皆、心地よさそうな表情を浮かべて息を止めた。安田とナルミは、本能的に、自分たちを知るものを排除した。自分たちを知らなければ、誰も何もしない。存在を知らない。知られた者には死を与える。自己防衛反応。ハサンから継承された儀式である。あたかも当然のようにその儀式を行った。そういう冷酷な遺伝子を獲得していたのか。その事実を安田はまだ理解していなかった。潜在意識にある冷徹、冷酷な無慈悲な魂が継承されたことを、二人を将来、苦しめることになることを知らなかった。
# 継承の儀式が過ぎて、文明を排除した世界・蜃気楼に安田は仕事を忘れて、ナルミとともに毎日を楽しく、明るく過ごした。何も悩むことはなく、悩む隙さえない官能三昧の日々。ナルミはむちで打たれることを好み、安田はむちを打つことに快感を覚えた。安田はむちで打っても、体を傷つけない究極の寸止め・むち打ちの技を会得していった。安田には天性の素質があった。マゾヒスト安田は相手を痛めつつ、傷つけない。痛めても、心に快楽を与えた。継承の儀式後、安田は魔性の力を得た。安田はハサンが探していた継承者であった。継承させるために拉致した。その事実を安田は知らされなかったが、徐々に自らの能力と境遇を知ることになる。
# 継承の儀式が過ぎて、文明を排除した世界・蜃気楼に安田は仕事を忘れて、ナルミとともに毎日を楽しく、明るく過ごした。何も悩むことはなく、悩む隙さえない官能三昧の日々。ナルミはむちで打たれることを好み、安田はむちを打つことに快感を覚えた。安田はむちで打っても、体を傷つけない究極の寸止め・むち打ちの技を会得していった。安田には天性の素質があった。マゾヒスト安田は相手を痛めつつ、傷つけない。痛めても、心に快楽を与えた。継承の儀式後、安田は魔性の力を得た。安田はハサンが探していた継承者であった。継承させるために拉致した。その事実を安田は知らされなかったが、徐々に自らの能力と境遇を知ることになる。