テキストサイズ

蜃気楼の女

第12章 日本入国

 だから、超能力を持つナルミでも、日本語の文字は物理的なことであって、文字を読む取ることは困難だ。ナルミをはじめ蜃気楼の女たちの超能力は、生物の脳に働きかけることができる基本的な能力であり、物質を移動させたりする能力は持ち合わせていなかった。物質に働きかけられる能力は、突然変異によって誕生した国王・ムクタフィーの遺伝子を受け継いだ限られた者にしか備わっていなかった。だから、ナルミは自分の能力を補える物を手に入れたかった。それが、男の安田であり、父・ハサンが見つけた男である。この特殊能力は世界中のどこかで突然変異により誕生しているらしい。安田は官僚としての権力を持っている。それは超能力と同等の力がある。ナルミはその安田の力を利用する。ナルミは超能力を駆使し、安田を官僚のトップに据える。その力で政治の世界も操作できる力を手に入れる。やがて、増発部隊として日本に増発されたアラビアーナ人が、日本の社会を陰から進行する。虐げ続けられてきた蜃気楼の世界から、アラビアーナ人を日本国に移住させ日本に同化させる。やがて、日本人とアラビアーナ人がセックスし、新しい民族を誕生させる。アラビアーナ人が、平和に幸福に暮らせる社会を作る。そのスタートをナルミと安田が先遣隊として担う。将来、この日本を襲う少子高齢化社会を新しい民族であるアラビアーナ人が加わり人口を爆発的に増加させる。ナルミたちはその足がかりだ。それは日本を支配することではなく、絶滅する日本人を救うことになる。そして、アラビアーナ人も救う。まさに、双方にとって、ウインウインの関係と言える。幸せな民族の誕生である。そうやって、ナルミは将来を想像するにつれ、ナルミの心が高鳴り、心臓の鼓動が速まった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ