蜃気楼の女
第12章 日本入国
珠子はナルミの語学力を褒めた。しかし、ナルミは日本語を全く理解していない。彼女の持つ超能力により、コミュニケーションが可能なのである。蜃気楼に拘束するため、空港で拉致した安田にしても超能力を使ったから、意思の疎通が可能だった。相手の脳に働きかける。ナルミは超能力を駆使し、安田の心と体を洗脳し、支配した。安田はナルミに対し、むちを使って従順になるよう調教したと思っている。ナルミが安田にそう思うように仕向けた。ナルミたち蜃気楼の女は、男を操作する能力に長けていた。持って生まれた能力が蜃気楼の女にあった。この超能力はアラビアーナ人であれば、みな備えていた。相手の脳に少しだけ働きかける。体を動かしている力は、その個体の脳が意思で動かしている。だから、自分が自分の意思で動いていると思い込む。安田はナルミに会ったとき、容姿に引かれた。ナルミに対し安田は特別な脳の動きが生じた。双方向通信が可能になった。だから、ナルミが安田の脳に切っ掛けを与えれば、すぐにナルミになびかせることは簡単な誘導であった。超能力を駆使しても、難しいのは、長時間、個体の持つ意思とは反対の行動を取らせることである。