不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第27章 玉砕
・・・
張り詰めていたコウヘイくんの顔が次第にほころび、やがて笑顔で瀬川くんの肩を叩き返した。
「…おう!!俺も本気だったつもりだけど?!でももう邪魔しねぇ!負けだわ!今まで悪かったー!!このとおりーっ!」
いつものようにふざけた口調でコウヘイくんが言うと、やっと私も笑うことが出来た。
少ししてコウヘイくんは元いた場所へ戻って行った。
そばには綾香ちゃんがいて、こちらの会話を知ってか知らずか、コウヘイくんの腕に触れ、笑顔で寄り添った。
・・・
帰りの車中でも後部座席でアンナと平野はビールを飲んでいる。
歌ったり、騒いだりとっても楽しそうだ。
「ねぇ平野、次はどんな集まり企画してんのー?」
「ちょっとアンナちゃん、飲みすぎじゃない?!えっと~次はどうしよっかね。キャンプしたかったけど、イベント多すぎてもね」
「えっ、キャンプ良いじゃん!私、年末のやつ行けなかったし!」
「バラ組ではミライちゃんと紗奈ちゃんが来てくれたんだよね。…っていうかアンナちゃん、カレーとか作れるの?(笑)」
「おい~~!馬鹿にするなよぉ~~!?」
またじゃれ合う2人の騒がしい声を聞いて、私と瀬川くんもクスクスと笑った。
2人を送り届け、ひとまず私のアパートに瀬川くんを招き入れた。
「今日は…お泊まり出来ないよね」
「うん、明日仕事だしな…。
そんな顔すんな。またすぐ会える」
「うん…」
私は浴衣姿のまま瀬川くんの腕の中に潜り込む。
彼はいつものように私を大きく包み込んだ。
「来週だ、誘致イベント」
「あっ、そうだったね。瀬川くん、前回みたいに頑張りすぎないでね…?」
「ふふっ、風邪引いたらまたお前におかゆ作ってもらおうかな(笑)」
「んもぅ、そりゃあ作るけどぉ~…!無理しないでよ」
「ん。ありがとな」
しばらくべったりと抱き合い、今日楽しかった事を話し、時折キスをした。
「瀬川くん…もう、時間が…遅くなっちゃう」
「そうだな、そろそろ行くか」
名残惜しくも玄関から送り出すと、彼がドアに乗り込んだであろう音が聞こえるまで私はそこに佇んでいた。
ピコン!と携帯が鳴り、確認すると瀬川くんからのメッセージだった。