不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第28章 お姫様
久しぶりに、彼のアパートに足を踏み入れた。
洗面所には私の私物がそのままで、キッチンの引き出しには2人で買った箸置きもしっかりとそこにあり、なんだか嬉しくなる。
「それで、さっき買ったこの酒…どうやるの?」
「あ、そうだった」
私がジンリッキーが飲みたいと言うと、飲んだことがないけど俺もそれで、という事になり必要なものを買ってきたのだ。
「私も自分で作るのは初めてなんだけど…だいたいは分かってる…はず(笑)」
2人でキッチンに立ち、なんとかジンリッキーを完成させた。
2人で買った布のコースターにグラスを置いて腰をおろし、私たちは改めて乾杯した。
「んんっ!すげえ爽やかなカンジ。夏っぽいね」
「…どう?」
私もグラスに口をつけながら聞く。
「うまい。レモンじゃなくてライム、ってとこが何となく特別感あるな(笑)」
「あははっ、たしかに~。良かった、気に入ってくれて。」
「これから夏は一緒にこれ飲もうな」
「うん、…」
嬉しくなり、瀬川くんを見つめると頬が熱を持つ。
視線に気づいた彼は私に口づけ、大きな手で耳を撫でた。
「これね…同窓会の二次会でも飲んでたの。」
「そうだったのか」
「ボーッと瀬川くんのこと見てたら、近寄ってきて見つめ返された」
「ふふっ、そんな事あったな。あの日オレ、なんであんなに積極的だったのかな…。」
「…でも、そうじゃなかったら今は無かったかも」
「そうだな。よくやった、俺(笑)」
2杯目のジンリッキーを飲み終える頃、「おいで」と優しく言われ、彼の膝に座る。
向き合ってキスすると、優しく抱き寄せられ、次第に手付きが色めいていく。
「んっ…瀬川くん……会いたかった」
「ふふっ。俺だって」
これでもかと舌を絡め合い、ゆっくりと布団へ移動した。
食べられてしまうと錯覚するほど全身をくまなく愛撫され、私がトロトロになった頃、彼もTシャツを脱ぎ捨てた。