不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第30章 夏の終わりに…
「…マジか。どうする?行く?」
「うん…」
このあと大人たちの打ち上げに誘われていたので、申し訳なさが募る。
「分かった、送る。キー取ってくるわ」
瀬川くんは早足で校舎へ戻っていく。
「もしもし?今から行くから、…2時間くらい待てる?急いで行くから」
「う、うん…ッ…ごめん…ね…ヒック…」
「良いから、変なこと考えないでとにかく待っててよ。わかった?」
「うんッ…うん…っ」
「じゃあ、一旦切るよ?連絡するから」
足早に車に乗り込むと、すぐにエンジンがかかる。
「本当にごめんね…」
「なんでお前が謝るんだよ。大丈夫だから、早く行って慰めてやんないとな」
「うん……。私ね、離婚、した時に…」
「…うん?」
「アンナがそばにいてくれてね、元気もらって…本当に支えられたの。それで、アンナがなにかあったときにはすぐに駆けつけたくて…そばにいたくて…」
瀬川くんは優しく微笑み、私の髪をクシャッと撫でた。
「分かってるから。気にすんな」
アンナの家まで送ると強く言ってくれた彼を説得し、駅まで送ってもらうことにした。
「本当に大丈夫か?」
「うん!せっかくなんだから打ち上げにも行ってほしいし、明日もお仕事でしょう」
「いいのに、気にしなくても」
駅に到着すると、私たちは抱き合ってキスをした。
「ね、…次はいつ会えるかな…」
「ふふっ…すぐ会えるよ。いつもそうだろ?」
「ん…。」
「どうした?」
「本当は、離れたくない…」
「俺だって。」
強く抱きしめられ、もう一度舌を絡めた。
なんだか、瀬川くんのアパートに訪れるたびにズブズブと抜けられない沼に溺れていくような気がする。
独占欲や依存心がどんどん膨らんで、胸が苦しい。
今日も改札まで見送ってくれた彼に手を振り、私は電車へ飛び乗った。
夏が終わっていく-----……