不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第8章 なにかが変わる時
「離婚届だした日に彼氏を作るのは罪?」
また冗談を言って笑った。
「それで奈美は最近どうなの?恭ちゃん元気?」
「うん、元気元気。最近なんでも自分でやりたがるの。洗濯物たたみたがるから任せてみると、もうぐしゃぐしゃで(笑)おもしろいよ」
しあわせそうに笑う奈美に私も心が穏やかになるが、次の一言でそれは少し深刻なものに変わった。
「旦那がね。最近あんまり家に居ないの」
「えっ…?!どうして…」
「ソロキャンプ、ってあるじゃない?1人でキャンプに行くの」
「あぁ、聞いたことある」
「それにハマっちゃって、もうキャンプの道具を山ほど買ってさぁ…週末は出掛けちゃうの」
「えぇ…だって、恭ちゃんとゆっくり過ごせるの週末だけでしょう?」
「そうなんだけどね…楽しいみたいで、家のことほとんどノータッチ」
「あの優しそうな旦那さんが…。想像つかない」
「私もビックリだもん、急にこうなっちゃって。恭介が大きくなったら一緒に連れて行くけど、今はまだ無理だからって言うの…」
「そんなぁ…」
「まぁ、今はほっといてるけどね。あんまり続くようなら、考えものだよ…」
「そりゃ、そうだよ。恭ちゃんだって寂しがるでしょ?」
「うん。旦那が週末に出かける時、いつも大泣き。私の親も、良い顔はしないしね…」
「家族も連れて行ってくれればいいのにねぇ…」
「1人が良いみたいだよ。お婿さん状態だから、息が詰まったのかな」
奈美は空中を見つめ、短いため息を吐いた。
「そういえば、ミノルくんはどうなったの?」
「そうそう。紗奈が出産したときには、もう離婚成立してたの。あの時はこんな話するべきじゃないと思って」
「そうだったんだ?じゃあ今は…?」
「ミノルは子供連れて実家に帰ったよぉ。たまに、子供たち連れて4人で遊んでる」
「…」
「なんか疑ってる?なにもないよ?(笑)」
「ふふっ、そっか。良い関係…なんだね?」
「まぁ、そう…かな」
「…なにか思うところがあるの?」
「んん…変な話するけどね。私、旦那がこんな状態だから2人目は諦めたの。それはもういいんだけど…」
「うん?」