不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第9章 悩める恋する30歳
買い物をして帰宅すると、雨に濡れて身体が冷え切っていた。
(奈美の言う通り、傘買わなきゃね…)
私は湯船にお湯をため、その間に夕飯の準備をする。
離婚して2週間が経ち、一人分の食事にも、自分の他に誰もいない生活にも慣れてきた。
お風呂上がりに携帯を確認すると、瀬川くんから”ただいま”のメッセージが入っていた。
私は彼に電話をかけると、すぐに声が聞こえる。
「もしもし」
「あ…っ、お疲れ様。今、お風呂入ってたの」
「ふふっ、そっか。今日雨だったろ?」
「うん、それで冷えちゃって。長風呂しちゃった」
「出掛けてたんだ?風邪引くなよ」
「そうそう、久しぶりに奈美とね。いつもの喫茶店に」
「おぉ、元気だった?」
私は週末に奈美と飲みに行く約束をした事や、ミノルくんと奈美は今も仲が良いということを瀬川くんに話した。
「俺、整列するときミノルとずーーっと隣同士だったな(笑)」
ミノルくんも瀬川くんも当時から背が高く、背の低い順で整列すると必ず2人は一番最後の位置を争っていた。
「あははっ、そういえばそうだよね。なつかしい~!」
「部活違うし家も遠いけど、卒業するまで背の高さ競ってたわ」
「結局、決着つかなかったんだね(笑)ところで瀬川くん、今週末こっちに帰ってくるんだよね?」
「うん、飲みに行くなら送り迎えできるよ」
「ふふっ、嬉しい。でもね、4人で飲みに行くのはどうかなぁって…」
「女子同士のところに男二人、乗り込んでいいのかよ(笑)」
「ミノルくんも呼ぶ?って冗談で奈美に言ったら嬉しそうにしてたから、…私、奈美にも瀬川くんにも会いたいし、自分勝手な提案だけど(笑)」
「俺は構わないけど、ミノルはどうだろうな」
「そうだね、奈美に聞いてみてもらうよ」
瀬川くんとの電話を終えると、すぐに奈美にメッセージを打った。
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翌朝、携帯を確認すると”ミノルに聞いてみる”という内容の返信が届いていた。
雨は上がっていて、私は布団を干して音楽を聴きながら仕事や掃除をし、気持ちのいい朝を過ごした。