不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第9章 悩める恋する30歳
その週末のため、私は奈美と相談し、同窓会をした駅前のカジュアルバーに予約を入れた。
やって来たその日、瀬川くんは私のアパートに車を置いていく事になり、夕方頃に到着した。
挨拶もそこそこに玄関でキスをすると、2週間ぶりに会えて嬉しい気持ちをハグで伝える。
「あれ、お前そのピアス…」
「うん、ネックレスと合うかなって…ネットで買ったの。どうかな?」
「似合ってる。…うん、可愛い」
そう言って彼は小さく揺れるピアスを触る。
「でも、ほしいなら俺が買ったのに(笑)」
「駄目だよ、あんまり私を甘やかしちゃ!」
やっと部屋に入ると、このあいだ届いた新しい二人がけのソファを披露する。
「お、いいじゃん。座っていい?」
「もちろん。特等席だよ(笑)」
隣同士に座ると再びキスをされ、そのまま押し倒される。
「…んっ…んはぁ……」
長いこと舌を絡ませていた。
がっちりと引き締まった首や肩に腕をまわし、相変わらず私は少女のように胸がキュンとしてしまう。
キスだけでとろとろに骨抜きにされ、瀬川くんを見つめる。
「瀬川くんのチュウって…本当にえっち…」
「お前に言われたくないな?」
そう微笑むと彼は私の首筋に吸い付き、時折ぺろりと舐めた。
「…んん…っ、ねぇ…、したくなっちゃう…だめ」
もう、家を出なければいけない時間だ。
「ごめん、がっつきすぎた」
苦笑いをする彼は、私を支えて元の姿勢に戻した。
このまま焦らされるのはつらいけれど、私は乱れた服を整えた。
「ね、今日はうちに泊まるでしょ?」
「そうさせてもらおうかな」
そう言って彼が私のおでこに軽くキスをすると、私たちは家を出た。
「2人で電車乗るの初めてで、なんか新鮮だね」
「そうだな」
約束の駅まではほんの数分だが、堂々と手をつないで電車に乗る…-それが私には無性に嬉しかった。
約束の駅に着くと、私たちはカジュアルバーまでの道を歩く。
あの同窓会で瀬川くんと再会して、そして今…。
まさかお互いに離婚するとは、そしてまさか恋人同士になるなんて、想像もしていなかった。