不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第10章 同級生
「ウッス」と、こぶし同士をくっつける2人を見て、私と奈美はおどけた。
いつまでも、男の子は男の子。そして私たちはいつまでも少女なのだ…。
ミノルくんの飲み物も揃い、改めて4人で乾杯すると、久しぶりの挨拶もそこそこに、どちらが身長が高いかという話題になる。
2人が背筋を伸ばして並び、私と奈美は反対側から2人を見比べた。
「俺だろ」
「いや、俺だな」
と言い合う彼らは、「で、どっち??」と私たちに問いかけた。
「えぇっと…」奈美を見ると、彼女も眉をひそめていた。
「じゃあ、せーので言って」とミノルくんが言い、自分で「せーの!!」と発した。
隣では瀬川くんが笑っている。
私と奈美は目を見合い、呼吸を合わせて「同じ!!!」と答えた。
「えっ?」
「えぇ~!!」
男2人は今回も勝負がつかなかった事に落胆し、笑った。
「だって本当に同じなんだもん、ね、奈美?」
「うん。ほんとにほんとに、全く同じに見えるよぉ(笑)」
「待って、瀬川お前最後に測ったのいつ?」
「大学入った時」
「俺もだ!!じゃあ、それで勝負つけようぜ」
「望むところだ(笑)」
私と奈美が
「「せーのっ」」
と言うと、2人は口を揃えて
「「181!!」」
と言い、4人全員で目をキョロキョロし合って大笑いした。
それからもおしゃべりは続き、時折ミノルくんが「恭介、大丈夫?」などと小声で囁いたりした。
そのうちに話題は高校時代、ミノルくんと奈美が付き合っていた頃の事にさかのぼっていった。
「初デートの映画退屈すぎて、寝てたろ(笑)」
「ね、寝てないよお!たぶん…(笑)」
「その感じ、絶対寝てたな!」
2人とも本当に楽しそうに話していて、私と瀬川くんは微笑ましく思いながらおつまみを口にしていた。
「殻むく?」
さっき注文したガーリックシュリンプを指差して瀬川くんが言う。
「ううん、殻のままでいい」
思わず少し甘えた声を出してしまう。
瀬川くんは手づかみで海老を持つと、私の口に運び、尻尾をむしった。
手を拭きながら「うまい?」と聞き、私が両方のほっぺを押さえて「んま~~い!」と言うと、いつの間にか会話が途切れていた奈美とミノルくんがケラケラと笑う。