不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第10章 同級生
奈美がトイレに立つと、
「ね、俺ら3人とも今年離婚した組、だな(笑)」
とミノルくんが笑った。
「ふふっ、自慢にはならんけど、そうだな(笑)でもお前は子供いるんだろ?色々大丈夫か?」
「あぁ、今は親も見てくれるし、あと…奈美も良くしてくれてるからさ」
私はうんうんと頷いて、話の続きを促した。
「料理そんなに得意じゃないくせに、弁当作ってきて(笑)子供らと4人であそこのでっかい公園、よく行くんだよ」
「うふふっ、いいねぇ~公園でお弁当」
「まぁ、あいつも色々あるから…なるべく楽しく過ごしたいよね、俺といるときくらいは」
「そうだね。奈美ってあんまりハッキリ言うタイプじゃないから、時々心配になるもん。ミノルくん…よろしくね」
「アハハ(笑)頑張ります」
ミノルくんの心の内がいまいち見えないまま、奈美が戻ってきた。
乾杯から2時間近く経ち、みんなほろ酔いだ。
「あ、俺もトイレ」
ミノルくんが席を立って1分も経たないうちに、私たちの席の前を通った2人組の男の1人がおもむろに奈美に話しかけた。
「すげえスタイルいいっすね!身長どのくらいあるんですか?」
「えっ…?」
確かにオープンでカジュアルなバーではあるが、ここはクラブではない。
しかし身長を聞かれたところで相手の意図が読めないので、瀬川くんも黙って見ていた。
「えっと…166…くらいですけど…」
おずおずと奈美が答えると、男は食い気味に答えた。
「えぇっ!スラッとして素敵っすね!あっ…お友達と3人ですか?」
「いやっあの…」
「あっ、もしかして彼氏とかいます?すいません、すごい好みだったからつい…」
年下に見えるその男は、図々しく奈美に近寄る。
私はついとっさに、「か、彼氏いるよっ…!」と言ってしまった。
「あ、じゃあ今日は一緒じゃないとか?もしよかったら…-」
男がさらに奈美に近寄る。
「いや、後ろにいるけど」
瀬川くんが言うので見ると、奈美と男のうしろにミノルくんが立ちはだかっていた。