不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第12章 約束
「う、うん…」
「自信無さそうで不安なんだけど(笑)」
「いや、まぁ…それ言っても仕方ないし…ねぇ?」
「うん。お前とあの子の付き合いもあるだろうけど、今は言うべき時じゃないような気がするな」
「そうだね…」
私はまたカクテルをゴクッと飲んだ。
口の中にふわりと強いお酒を感じると、瀬川くんは私の顎に触れた。
「そんな事より、俺らは俺らの話をしようよ」
「んっ…私たちの話?」
ものすごく顔を近づける瀬川くんに、私は思わずうつむいた。
「そう…。こっち向いて。大丈夫、暗くて見えないから」
ゆっくり顔を上げると、彼は私の唇を喰んだ。
誰かに見られていないかドキドキしながら、なるべく平然を装った。
「どんな話…?」
「お前がドキドキするような話とか…」
そう言いながら彼は私の耳やピアスを弄ぶ。
「ドキドキ…?…いつもしてるもん…」
「それはずるい(笑)」
「だって、本当だもん」
すると瀬川くんはゆっくりと体勢を変える素振りをしながら、私の服の裾からそっと手を差し込んで脇腹を撫でた。
期待で下半身がぞわぞわする。
「ね、瀬川くん…」
「ん?」
「ん…もう…おうち帰りたい」
「ふふっ、あんまり可愛いこと言うとここで襲うよ?(笑)」
「…っ~!!」
顔が熱くなっていくのを感じる。
「でも、時間も時間だしな。そろそろ出るか…」
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店を出ると奈美も私も少しふらついた足取りで歩き出した。
「帰り、どうする?」
と奈美に聞くと、
「あぁ俺送ってくから大丈夫!」
とミノルくんが答え、タクシーを探し始める。
奈美は最後に私に抱きつくような形で、
”ミライ…私、自分が怖いよ…”
と言ってタクシーに乗り込んでいった。
すぐにミノルくんも乗り込み、車は去った。
その言葉の意味が分からないまま、奈美は行ってしまった。
「俺らも帰ろう」
肩を抱かれ、私たちもタクシーへ乗り込んだ。