不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第1章 樹が生まれた日
紗奈も疲れているだろうし、外が薄明るくなってきたので私と奈美もそろそろ帰ろうかという頃、バラ組のトークルームでケイが「日中なら行けそう!生まれたかなぁ?」と発言してきた。
生まれた報告と、私たちは帰るので日中はよろしくという内容を返信して私たちも病院を後にした。
それから5日後に紗奈は退院し、今はお姉さんと紗奈、そしていっちゃんと3人で暮らしている。
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「いつき、めっちゃおっぱい飲むんだけど(笑)で今は寝てる。」
「そっかそっか、良かった。またすぐ遊びに行く!」
「それより大丈夫?フミさんとちゃんと話せた?」
「いや、まだ…今日帰ってきたらかな。離婚届も、フミの方まだ空欄」
「なるほど…。健闘を祈る」
「ありがと(笑)」
私は紗奈との電話を切ると、再び荷造りを始めた。
衣類や小物など自分のものはほとんど片付け終わり、仲睦まじかったあの頃を連想させる雑貨などもゴミ袋にまとめた。
あとはフミと一緒に買い揃えたりしたカーペットや家具家電だ。
これはフミが帰ってこないことには勝手に片付けられない。
私は埃っぽくなった身体を綺麗に洗い流そうと、この家では最後になるかもしれないシャワータイムを過ごした。
ふと、”今日はここに寝るんだろうか。離婚すると決定してからも同じ家で眠るのってどうなんだろう?”と、ささいな事が気になりだす。
夕方、もうすぐ17時になるという頃にケータイが鳴った。
瀬川くんだ。
「もしもし」
「お疲れさん。荷造りどう?大丈夫か?」
「うん、もう結構終わったよ~!瀬川くんもお仕事お疲れさま」
「うん。で、どんな流れなの?もう明日にはアパート?」
「今夜話して…、それ次第なんだけどね。荷物は宅配で送るとして。アパートはもう押さえてあるから、すぐに鍵はもらえる」
「そっか…。俺に出来る事あったら何でも言って。さっき仕事終わって今から実家行くから、近くにいるし」
「そっか、明日は土曜だもんね。ありがとう」
「…何欲しい?」
「えっ?」
「引越し祝い(笑)」