不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第16章 バラ組が来た
程なくして奈美がやってくると、3人そろいの赤色に笑う。
「奈美、そのニット良いね」
「えへへ。赤いトップスなんて持ってないもんだから、急いで買ったんだよぉ?(笑)」
待ち合わせ時間ぴったりに、紗奈とケイもやって来た。
「うわぁ~~集まったぁ!久しぶりだねぇ、うっ、うっ…」
アンナが涙を流す素振りをする。
ひとしきり笑い、それぞれの赤いトップスについておしゃべりをしたあと、私たちはやっとそれぞれの飲み物を注文した。
「ケイが一番久しぶりだよね!」
「もう本当、嬉しいよ~!今日は旦那と子供で留守番。飲み会なんていつぶりだろう~~」
それぞれの子供の写真を見て盛り上がっていると、マスターが飲み物と一緒にケーキを持ってきてくれた。
「久しぶりにみんな集まってくれたから、サービス。喧嘩しちゃ駄目だよ(笑)」
それぞれ違う種類のケーキは、まるで私たちの姿を写しているかのようだった。
「ケイ、モンブランが好きじゃん」
「奈美はフルーツのが良い?」
平和にケーキを取り決めていくと、
「私はイチゴが好きってみんな知ってるでしょぉぉ~??!」
とアンナが騒ぐ。
「はいはい、アンナはこれね(笑)」
紗奈が世話を焼き、私たちはみんなでケーキを頬張りながら止まらないトークを楽しんだ。
子供たちの成長や、アンナが彼氏とヨリを戻したこと。
私が瀬川くんと正式に付き合い始めた事、紗奈が自宅開業を目標にしていること。
話は尽きず、そこにはこれまでどおり”秘密”もほとんどなかった。
奈美の、ミノルくんとの事情以外は…。
あっという間に同級会がスタートする18時が間近に迫り、私たちは急いで外へ出た。
雨こそ降っていないものの、どんよりと湿った空気が頬をなめた。
「会場は、駅前のあの居酒屋だよね」
「大人数なのに、よく予約取れたねぇ」
「何人集まるの?」
おしゃべりをしながら風を切って歩く私たちは、この仲間たちといる自分にそれぞれがどこか誇らしい思いを抱いているようだった。