不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第16章 バラ組が来た
バラ組への思いに浸っていると、私の気持ちを代弁するかのように
「バラ組、最高ぉー!やっぱりこの5人が揃わなくちゃね!」
とアンナが明るく言った。
「アンナ、今日はテキーラ控えめにね(笑)」
そうこうしていると居酒屋に到着し、外では何人かの同級生たちが立ち話をしている。
平野もそこに紛れていて、私たちを見つけるとおそろいの赤いトップスに笑いながらも中へ案内してくれた。
会場に入ると、いくつもの掘りごたつが並んでいた。
「わぁ、良い感じ」
私たちはひとつのテーブルを囲むように座る。
まわりから、「あ!バラ組全員集合じゃん」「お~久しぶりに見た(笑)」「真っ赤~!」と声が上がり、私たちはそれぞれ挨拶を返したりした。
時間になると平野が中央に立ち、「じゃあすいません、簡単に挨拶を~~」と声を張り、なにやら紙を確認している。
「え~っと。今回は…男子27名、女子16名の合わせて43名の参加でーす!ありがとうございます。2時間飲み放題、しゃぶしゃぶ食べ放題ですので沢山食べてね」
会場がワッと盛り上がった。
最初の同窓会と同じように平野が飲み物を聞いて回るが、人数が多いので私も手伝おうと立ち上がった。
「手伝うー?」
「あっ、ミライちゃん!ありがとう、助かるー。あっち頼める?」
「OK」
最初のテーブルには綾香ちゃんとその取り巻きが席についていた。
「ミライちゃぁん!久しぶり!」
「綾香ちゃん、元気だった?」
にっこりと微笑む綾香ちゃんのバッグには、温泉旅行でコウヘイくんからもらったキーホルダーがぶら下がっていた。
その隣のテーブルにはコウヘイくんや、他にも普段瀬川くんとも仲が良いメンバーが座っていた。
少し気まずかったが、そんな素振りを見せぬように声をかける。
「はーい、何飲みますかー?」
コウヘイくんは私に気付くと、一瞬ジッと見据えたあとで
「瀬川と付き合ったんだってね。今日あいつ来ないんだ?」
と意外な言葉を発した。
「う、うん…仕事で帰れないみたい」
「そうなんだ。あっ、俺ビール!お前らは~?」
いたって普通の態度のコウヘイくんに妙にホッとし、そのテーブルを後にした。