不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第16章 バラ組が来た
平野にメモを渡しに行くと、平野はお礼を言った。
「マジありがとーっ!俺今日さ、瀬川から頼まれてんの。コウヘイの見張り(笑)」
「そうなの?ふふっ、大丈夫だよぉ。もう何もしてこないでしょ」
「と思うけど…。まぁしっかり見とかないと、あとからの瀬川が怖いから(笑)」
バラ組の席へ戻ると、隣に座っていたケイが「おつかれっ」と声をかけてくれる。
みんなにドリンクが行き渡り、再び平野が中央に立って乾杯の音頭をとった。
私たちもみんなで乾杯すると、グビッとお酒を飲んだ。
「あぁ~、私も早く飲みたいわぁ」
「紗奈、まだお酒ダメだもんね。いっちゃん元気?」
「もう生まれて1ヶ月だね?」
「そうだよ~。1ヶ月検診終わったの。体重5.5キロ…やばいかな?!」
それが多いのか少ないのか私とアンナは分からず、他のメンバーの顔色を伺った。
すぐにケイが笑う。
「丸々してんだね!アハハ、大丈夫心配すること無いよ~。うちのもデカかった!」
「紗奈は身長も高いしね。似たのかも?」
「高いかなぁ?…ミライはバラ組で一番チビだから、みんなが大きく見えるってわけね(笑)」
「いや、チビって言ったって、151だよ?そんなにチビでもないでしょ」
「…チビでしょ(笑)」
「…うん、小さい(笑)」
みんなでワイワイ盛り上がっている間に、テーブルにはしゃぶしゃぶ用のお肉や野菜がどんどん運ばれてきた。
子供のようにはしゃぎながらアンナがお肉を食べ始める。
私は会話の合間にサッと携帯を確認し、瀬川くんに会議頑張ってねのメッセージを送った。
”校長の都合で、昼間から出来ないんだよ。夕方スタートかな…” と言っていたのを思いだしたのだ。
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1時間ほど経ち、すでにお腹がいっぱいになったほとんどの同級生はひたすらお酒を飲み進めていた。
仕切られた貸切の室内にはみんなの話し声や、時折大きな笑い声が響いている。
たっぷりとバラ組トークを楽しむと、アンナや紗奈は別の席へ移動して同級生とのおしゃべりに花を咲かせていた。