不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第17章 交差する感情
テーブルに私とケイと奈美が残ったところで、他愛もない話をしていると男子が3人やってきた。
同級生の間柄、とくに気にするような事ではないのだけれど…それがコウヘイくんだったので私は一瞬たじろいだ。
しっかりと平野もついてきて、私の隣に座ろうとするコウヘイくんと小競り合いをしている。
「なに~、もう、騒々しい(笑)」
ケイが笑うと、平野は観念した様子でコウヘイくんに席を譲った。
「お前、あとで瀬川に怒られるぞ(笑)」
「別になんもしね~もん!」
6人で改めて乾杯をするが、以前の出来事が脳裏に蘇ってお酒の味がしない。
「今日、ミノル来られなくて残念だったね」
2人が前回の同窓会で仲良く飲んでいた事を知っている平野が、何気なく奈美に言う。
「えっ…あ、うん。そうだね」
”なんか告げ口した?”というような顔で私を見る奈美に、私はふるふると首を振った。
「ん?どうしたの?」
コウヘイくんの距離が近い。
掘りごたつに放り出された脚が、太ももが…当たっている。
「ううん、なんでも」
平然を装って答えるが、かなり余裕がないことは確かだ。
なんとかしてここから抜け出したいけれど、…。
すると平野がこちらの様子に気付いて、すぐさま声をかけた。
「おいコウヘイ~!近いって。マジでやめて、俺、瀬川怖いんだから(笑)」
私以外はみんなゲラゲラと笑っているが、私の顔はおそらく引きつっていた。
「ね、ミライちゃん本当に瀬川が好きだったんだね…。付き合えて良かったね」
どういう風の吹き回しか…。
私は訝しげにコウヘイくんを見た。
「なんだよ~、変な意味はないからね?!幸せになってほしいと思ってるんだよ~」
「…ふふっ、そうなの?ありがとう」
考えても仕方がないので、私は素直に接する事にした。
「でもさ、瀬川となんかあったらいつでも俺に連絡ちょーだいね!!」
聞き耳を立てていた平野が「ねーよ(笑)」と笑うが、コウヘイくんは真っ直ぐに私を見つめていた。
結局、一次会が終わるまでコウヘイくんは私の隣に居座っていた。