不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第17章 交差する感情
「ではそろそろ時間なので、二次会行ける方は~2軒となりの、カラオケスナックへ向かっちゃって下さーい」
…
「ミライちゃん、二次会行く?」
他意なく聞くコウヘイくんに、私がバラ組次第だと答えると彼は笑顔で去った。
紗奈とアンナが戻ってきてまたバラ組が揃い、「二次会、行くでしょお??」とアンナが鼻を赤くさせて言う。
結局、紗奈とケイは子供のため帰宅することになり、私とアンナと奈美は二次会へ顔を出す事になった。
「奈美、2週連続で大丈夫?」
「うん、私平日はうちの美容室で仕事しながらお姉ちゃんの子供も見てるの。だから週末は交代」
「いいねえ!飲もう!」
アンナは私たちの間で両肩を組み、体重をかける。
「ちょっとぉ、アンナ、重い~(笑)」
「もう~っ(笑)」
私たちが3人ヨロヨロと歩き出すと、平野が携帯でぱしゃりと写真を撮った。
「あーっ!盗撮っ!」
「いや、幹事兼カメラマンなんで!またまた良い写真撮れたよ~(笑)」
そういえば温泉旅行のときに平野が撮ってくれた写真も、随分よく撮れていたっけ。
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二次会への参加は、おそらく20名はいたと思う。
カラオケスナックは20時にオープンしたばかりで、平野の予約によってここでも貸切だ。
「2時間しか貸切にしてもらってないんで、ヨロシクね~!」
赤いベロア生地の椅子がいくつも並んでいるテーブル席はすでに満員で、私たちはひとまずカウンターへ腰掛けた。
すると綾香ちゃんが
「はい、どうぞぉ~♪えへへ、3人とも濃い目でいいよネ?」
と言いながら水割りを3つ運んできてくれた。
「わぁ、可愛い子がお酒持ってきてくれたよ~」
私が言うとアンナは
「濃い目!分かってんねぇ、綾香ちゅわん!」
とノリノリだ。
「ありがとうね。そうだ綾香ちゃん、キーホルダー見たよ。一途に想ってるんだね」
彼女は照れて笑いながらも、ゆっくり、しっかりと頷いた。
コウヘイくんは一次会ではずっと私の隣にいたが、この二次会では何としても綾香ちゃんと楽しく過ごして欲しい。
そう心から思えるほどに、綾香ちゃんの気持ちや笑顔がせつなかった。