不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第18章 心を乱す存在
「来れる事になったの?」
「じゃなくて、迎えに…」
「えっ?奈美を?」
「うん…」
「そ、そうなんだ…心配してたのかな?」
「分からない。これから子供寝かしつけて、そしたら向かうからって」
「でも、良かったじゃない。気まずくなるより、こういう機会に喋っといたほうがさ」
「ん…恥ずかしくてミノルの顔、見れない」
そう言って奈美は残りの水割りを飲み干した。
「お~い。あんまり飲むと、また同じ後悔するよぉ」
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結局、二次会が始まってから貸切の2時間がもうすぐ終わってしまう。
「ミノルくん、なかなか来ないねぇ」
「うん…寝かしつけに時間かかってるのかも」
カラオケの盛り上がりはピークを迎え、ものすごい音量で声が響き渡り、時折キーンとマイクが高鳴りする。
やっと最後の曲が終わると、余韻の抜けないテーブル席のみんながまだワイワイと盛り上がっている。
後ろから背中をトン、と叩かれた。平野だ。
「ミライちゃん、これからどうする?」
「えぇっと…」
奈美が不安そうに私を見ている。
「奈美の迎えが来るまで、もう少しここに…いれるかなぁ?」
”誰が迎えに来るか”は言わずにそう平野に伝えた。
「うん、了解。俺ミライちゃん置いて帰れないから、奈美ちゃんの迎えが来るまで少し飲みましょっか~」
結局、3軒目に行く人や帰宅する人がいなくなってみると、なんだかおなじみのメンバーが残った。
アンナ、奈美、平野…そしてコウヘイくん、綾香ちゃんを含む他数人だ。
大きめのテーブルを囲むように席に着くと改めて乾杯をし、先程までのやかましい雰囲気とは打って変わってしっとりとした空気の中、それぞれがぽつぽつとおしゃべりを始めた。
コウヘイくんは私と綾香ちゃんに挟まれる位置に座っているが、特に違和感もなく楽しく過ごしている。
反対側ではアンナと平野がさらにカラオケを歌っちゃおうかと盛り上がっていた。
「ね、ミノルくんからまだ連絡ないの?」
コウヘイくんとは逆隣に座っている奈美に耳打ちする。
「んん…メッセージも返ってきてない。なんかあったのかな…」
私もしばらくぶりに携帯を確認すると、21時頃に瀬川くんからメッセージが入っていた。
[楽しんでるか~?帰りは大丈夫か?]