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不純異性交際(下) ―それぞれの未来―

第19章 不可解なコウヘイくんの心理


”2人に幸せになってほしい”

”あの時はごめん”

なんて言いながらも、ジッと見つめる視線やこぼれたお酒を拭く手付き…。



「どうかした?」


「ううん…。前に、コウヘイくんとつかみ合いになったじゃない?」


「あぁ」


「そのあとは…仲直りっていうか、元通りなの?」


「仲直りっていう儀式はないけどな(笑)別に普通だよ。会えば話すし、……お前、なんかされたの?」


少し瀬川くんの声が険しくなる。


「されてないよっ…、大丈夫」


瀬川くんは無言で左手を差し出し、私はその手を握った。


大きくて男らしいその手はあたたかく私を包み込む。



アパートに着くと、彼は玄関を入ってすぐに私に押し迫った。


私のあごを押さえ、ジッと見つめられると戸惑いで目をそらしてしまう。



「お前さぁ」


「う、うん…?」


「ちょっと無防備じゃない?」


私の黒いストッキングをシュルシュルとひざで擦りながら言う。


「そう…かな?」


「ほんとにアイツに、何もされてない?」


「されてないよ、…付き合えて良かったねって、言ってた…」


「…あやしい」


「ほんとだよぉ!」


「そうじゃなくて、あいつの行動が」


そう言うと彼は私を持ち上げ、ベッドまで運んだ。



「…心配?」


「そりゃあ、ね」


「私、本当に瀬川くんにしかドキドキしないよ…。ね、抱っこして」


両手を広げるとそれに応えるようにふわりと彼の胸に包まれ、痛いほどに強く抱き締められた。


ひとつも会話がないまま、私たちは確かめ合うように何度も何度もキスをした。



「今さ…」


「…うん?」


「すげえしたいけど…今は、酔ってないお前としたい」


せつなそうに私を見つめる瀬川くんは、また私に何度かキスをしたあと、手を握って私を寝かしつけた。


「今日…しないの?」


「ん…明日しよう。今日はもう眠って。ほら…」


布団をかけ直し、トントンと胸を優しく叩かれているうちに私は眠っていた。



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