不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第19章 不可解なコウヘイくんの心理
「わっ…なんだよ(笑)」
「嬉しいの。付き合ってるんだなぁ、って…」
「ふふっ。んじゃ今日は買い物だな。箸置きとか、まだ買ってないもんな」
「わぁ。嬉しい~っ。」
昨夜そのまま眠ってしまったので、私はすぐに湯船にお湯を張った。
2人で浸かり、瀬川くんにシャンプーで頭を泡立てられる。
幸せで意味もなく笑みがこぼれた頃、シャーっと上からシャワーで流された。
「っぷはぁ…!瀬川くんの手、すごく気持ちいい。美容師さんみたい」
「そうか?気のせいだろ(笑)」
「ほんとだよぉ…」
私は彼の手に触れてまじまじと見つめたあと、頬に付けた。
「いちいち反応をさせるな」
「えっ?」
ふと下半身を確認しようと目線を下げると、「見るなって(笑)」とキスされた。
私たちは朝から2人だけの甘い時間を満喫していた。
しかし頭の片隅には、”アンナは大丈夫だろうか。コウヘイくんからのメッセージはどうしたらいいだろう…”なんて事がチラついていた。
お風呂から上がるとアンナから返信が来ていた。
[さっき、連絡きたけど…寝てたって。ダメだぁ、彼を信用できなくてつらいっす]
私は思いのたけを途中まで入力したが、やっぱり消してから
[言いたいこと全部書くと長くなるから、会ってまたゆっくり話そう!火曜日以降ならOKだよ。アンナは?]
と返事を送った。
仕事に取り掛かり、私がパソコンとにらめっこをしているあいだ、瀬川くんは私がこれまで製作したデザイン集を見たり、女性向けの通販雑誌をペラペラとめくったりしていた。
お昼近くなり作業が終わると、買い物をしながら瀬川くんのアパートへ向かうため家を出た。
車に乗り込み何気なく携帯を確認すると、アンナから[火曜日にミライんち行く]というメッセージと…コウヘイくんから、[無視しないでよ~!]というメッセージとが入っていた。
「んじゃ、あのショッピングモール行ったら俺んち向かってOK?」
瀬川くんの言葉で我に返り、私はコウヘイくんのメッセージをまたもや無視する形になってしまった。